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ジャスパー

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日本パステルホープアート協会公認 正インストラクター。
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9月12日

2007.09.12 22:23|日常のこと
『石を積む人』 エドワード・ムーニー・Jr/求龍堂
図書館利用。

「ストーンマン」とあだ名された老人が、死んだ妻の願いを叶えるために、残された時間のすべてを使ってひたすら石を積み、塀を完成させていくというお話。(訳者あとがきより)

返却期限が迫っているのでちょっと焦って読んだけど、読みやすい文章であっという間に読めてしまった。泣けた。
五十年連れ添ってきたジョーゼフとアン。
物語途中で妻のアンは死んでしまうのだけど、最初の心臓発作からその死の間までのジョーゼフの葛藤と苛立ち、アンの不安、老いることの絶望、そういう細かなところが小さなエピソードとともに丁寧に書き込まれていることや、子育てと仕事のためにいつも忙しい娘と、数年前に仲違いしてしまった息子との関係を最後まで最小限に絞っているところなんかが、ちょっと手厳しいくらいだけど、すごいなあと思う。
それからラスト。
あとがきに「シビアな結末です。というよりリアルな結末と言ったほうが的確かもしれません。現実は甘くないのです」とあるように、こちらもかなり痛かった。
これらの厳しさや痛さがあってこそ、ジョーゼフとアンの夫婦愛を際立たせる物語になっているように思う。
後半はジョーゼフと街の問題児たちとの交流が書かれている。
石を積み上げる作業の途中でジョーゼフがその子達に向かって「下の石(家庭)が不安定なためにぐらぐらとしていても、横の石(友人や仲間)にしっかり支えられれば安定する」みたいなことを話す場面があって、高校教師をしていたこの本の原作者の思いは、おそらくここに集約されているのではないかと感じた。

娘や息子、孫達が織りなす直接的な家族ストーリーでなく、街のティーンエイジャーたちとただただ石を積むという地味な物語になっているので、いかにもお涙頂戴の家族愛、夫婦愛!な話ではないけれど、別の形での家族愛、次世代へ手渡せるものの成立を夢見れるような良いお話だった。
長いわりに読みやすく、それぞれの個性がブレずに、妙な甘い表現もなく、ダレずに読めるのも私はとても良かった。
自分が死んだ後に一人残される夫を思うアンの、その人柄が読む人を最後まで引っぱってくれる。
些細で、さりげない優しいエピソードがたくさん詰まった素敵な本でした。

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