FC2ブログ

パステル・ジョナサン

0

8月28日

ちょっと時間があるので、火事のあれこれメモ書き〜。

母と姉が救出された時、持ち出せた物はごくわずかだった。
阪神大震災から教訓を得て用意していた、貴重品の入った持ち出し用リュックがひとつと、姉が普段通勤に使っているプラダのバックひとつ、そして飼い猫であるロシアンブルーの「ゆうた」一匹。それだけだった。

姉はパジャマ姿、母は普段着を着ていたが、二人とも火の熱から身を守るため消防の人から放水を受けていてずぶ濡れ。
だから搬送先の病院から帰る時には、着替えと外に出るための靴を用意しなければならなかった。
何しろパンツ一枚、靴の一足すら二人にはもうないのだ。
私は病院の売店でスリッパを買った。それがこの出来事の私の最初の買い物になった。

二人の住む団地の自治会から電話連絡を受けた時、土曜日で休みだった主人と私はまだ寝起きだったので、最初は何が起きたのか分からなかった。
朝っぱらから消防車が来てるなーとかぼんやり思っていたところだった。私の家と実家はとても近いのだった。
電話の向こうで興奮した女性が「お母さんとお姉さんが救急車にいるから早く来て!」と叫んでいて、頭が真っ白になった。
私は次の言葉を待っていた。
生きて救助されたのか死亡したのか判断がつかなかったからだ。

「あっ、命に別状ないけどな!」

・・・それを早く言って欲しいんですけど・・・。

慌てて駆けつけると、周囲はものすごい騒ぎになっていた。
消防車25台が出動し、火は40分間燃え続けたとあとのニュースで知った。
私はたいてい近所の騒ぎには気がつくのに、こんな近くで、いつの間にこんなことになっていたのか信じられなくて、かなり気が動転した。
さっき聞こえていた消防車のサイレン、向かう先が実家だったなんて!
救急車に全身ずぶ濡れのススだらけになった二人が酸素吸入機をつけて座っていて、母が「病院には付き添わなくいいから、ゆうたを病院に連れて行って」と繰り返し私に告げた。
ハッと思った。猫のあの小さい体で煙を吸ったらどうなるんだろう。
近所の人に預けられた「ゆうた」をすぐに引き取りに行って、かかりつけの動物病院へ行き、彼も酸素をかけてもらった。
とにかく母も姉も猫も無事だった。
火はすでにおさまっていたが、出火元の2階、実家のある3階、それからその上の4階、すべて丸焼けのような状態だった。

二人の命を救ったのは、まず出火が朝の9時と明るいうちだったこと。それから風向きが良かったことだった。
ベランダで救助を待つ間、風は向かい風だった。そのおかげで火の熱と煙の害が少なかったのだ。
それから防災グッズとして用意していた「スモークシャット」という製品のおかげで大量に煙を吸わずに済み、後遺症の心配などもなく、姉は当日、母は翌日に無事退院した。

けれど、本当に大変なのはそれからだった。

火事の後始末と新しい家の準備。引っ越しなんかとはとうてい比べものにならなかった。体力勝負だった。
何しろ家ごときれいさっぱり何もかもなくしてしまったのだから。
日用品はもとより、子どもの頃から今に至るまでの何もかもが、たった数十分で灰になってしまった。

該当の記事は見つかりませんでした。

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する